a
トロントオンラインは、カナダ、トロントをくまなく紹介するトロントポータルサイトです
a
a
bar bar
a

a
flighty life REMIXコラムフォーカストロントHOME a
a
蟻の兵隊

外国で暮らしてみると、
日本の良いところ、悪いところなどいろんな面がよく見えるし、
日本にいた頃には考えもしなかったようなことを意識したり、
自分が日本人であることを意識したりするようになった。

と同時に、どう反応したらいいのかわからないような場面に出くわす事もある。
それはどんな時かというと、戦争で日本と戦った経験のあるおじいちゃんを持つ中国人に出会ったときや、
日本語がペラペラの90歳の韓国人のおじいちゃんに優しく話し掛けられたりするようなときだ。
自国の過去の傷や、かつての敵の痛みなど
案外日本にいるほうが気づくチャンスが少ないかもしれない。

そんなときに、友人にある本を借り、
日本人でありながら戦後ずっと日本という国を相手に戦っている人を知ることになった。
それが
「蟻の兵隊-日本兵2600人山西省残留の真相/池谷薫」と
「私は蟻の兵隊だった-中国に残された日本兵/奥村和一」の二冊だ。

内容は山西省残留日本兵の生き残りである
奥村和一さんという”おじいちゃん”の体験をもとに綴られる。
山西省駐留中に終戦を迎えた奥村さんたちは、
日本軍の上層部と内戦をひかえていた
中国国民党軍との間で交わされた密約により、
帰国する事も許されないまま、
命令により日本軍として中国共産軍と戦うことを余儀なくされた。
ところが、やっとの思いで日本へ帰ってみると、
事実上8月15日をもって武装解除されていることになっているため
奥村さんたちは”自らの意思で居残り、戦った”と処理されていたのだ。

実はこの「蟻の兵隊」、もともと数年前にトロント国際映画祭でも上映され、
話題を呼んだドキュメンタリー映画なのだ。
それが、数あるトロントの映画館の中でも
興味深いマイナー映画ばかりを上映することで有名な
Carlton Cinemaで上映されることとなった。
しかもここの映画館は他と比べて安くて有名!
そんなわけで本を読んで以来機会があれば観てみたいと思っていたので
早速友人と観に行ってきた。

ドキュメンタリー映画なので、内容は本とほぼ同じだが、
(実際本は映画の後に出版されている。)
本で読むよりもインパクトが非常に強い。
国を相手に長年裁判をしているものの、
やはりこういった所謂”戦後保障問題”に関して国は一切取り合ってくれないどころか
都合の悪い部分は一切無視だというから信じられない。
奥村さんと同じように戦った人々もみんな年を取り、
どんどん亡くなっている中でもあきらめずに歩き回る奥村さんのパワーに驚かされる。
数少ない生き証人たちも、国が彼らが亡くなりいなくなることを待って
時間稼ぎをしていることも承知している。
欲しいのはお金じゃない、ただ認めて欲しいと願い、
中国に足を運び、中国人から証言を得たり、
中国政府が保管している文献から証拠を探しているシーンなどはかなり衝撃的だ。
特に日本軍に幾度となくレイプをされたという中国人のおばあちゃんとの対面のシーン。
映画の中で奥村さんが何度も
「戦争は個人が何をしたかではなく、関わった全員の問題だ。」
と繰り返していた言葉が印象的。
大体映画の内容はこんな感じである。

戦後、国を相手に戦いつづけている人たちは奥村さんたち以外にもまだまだたくさんいて、
戦争のことなど教科書でしか知らない私の世代にとっては
あまりピンとこないトピックではあるが、
やはり知っておくべきことであると思う。
今後、こういった話を聞くチャンスはどんどん減っていくだろうし、
そういった意味ではとても興味深い映画だと思う。

現在、カナダではバンクーバーやモントリオールでも上映が予定されているそう。
英語のタイトルは「The Ants」
日本でも奥村さんの活動を応援する、映画「蟻の兵隊」の監督である
池谷薫氏によって各地で上映されているとのこと。
詳しくは「蟻の兵隊ホームページ」 にて。

Written by flighty

a
a
a
a
a
a
a
a a a a a
a
aCopyright(C) Brand New Web. All Rights Reserved.
トロントオンライン
a